中国進出や粉飾がアダ…偽装の代償

2015年も残すところわずか。マスコミでは今年1年の回顧が行われ、経済面でも来年への期待と不安が入り混じるかたちとなっていますが、皆様はどう感じておられますか?。

 今年の経済を代表したキーワードは、「偽装」。
大手企業の偽装が相次ぎ発覚し、そして中小では個人の社員レベルの偽装によって倒産に至った会社も・・。

●旭化成建材、東芝、フォルクスワーゲン、

 東芝の複数年度にわたる不正会計は、信用度の毀損、過去の決算も含めた業績修正、役員への賠償請求、企業組織そのもののドラスティックな再編等・・・いまだにその出口は見えないままです。
フォルクスワーゲンや旭化成建材も事業の本質に関わる部分におけるデータ改竄であり、その根は深いものです。 

 3社ともに業界大手で、特に東芝とフォルクスワーゲンは国際的な企業だけに持ちこたえているのですが、一般の企業であれば、倒産に至りかねない重大なケース。

 今年起きた倒産でも、本来であれば堅調な業績だったのに、偽装によって倒産したケース。
ただ、東芝やフォルクスワーゲンのような体力がないために倒産に直結してしまった例は少なくない。

●江守グループホールディングス

 そのひとつは江守グループホールディングス(GHD)。

 化学品・電子材料等の販売を行う事業会社、江守商事を中核とする上場会社の江守GHDは、経営悪化から4月30日付で民事再生法適用を申請、事実上倒産した。

 江守GHDはもともと成長路線に乗った安定企業だった。10年3月期に657億円だった売上高は毎年伸びて14年3月期には2089億円になり、最終利益も18億円から54億円に拡大、安定成長が続いており、株式市場でも推奨銘柄に挙げられるぐらいだった。しかし中国子会社における架空売り上げが発覚、業績修正とともに、一気に経営破綻に追い込まれた。

●グラス・ワン・テクノロジー

 今年2月に事業閉鎖、その後破産した液晶タッチパネル加工メーカー、グラス・ワン・テクノロジーの倒産もやはり偽装が原因である。こちらは同社のオーナーとして会社に乗り込んだ個人による粉飾、利益着服による行き詰まりで、個人の犯罪が企業に影響を及ぼしたケースである。

 特にこのケースで象徴的だったのは、グラス・ワン・テクノロジーが株式を持っていた電源メーカーのユタカ電機製作所や業務用厨房機器メーカーのマッハ機器にまで影響が及んだことだろう。特にユタカ電機製作所は極めて経営は安定的だったが、グラス・ワン・テクノロジーが親会社だったために、民事再生に追い込まれた。もともと企業体質は良好だっただけに、すぐに大手電子部品メーカー、ニチコンが支援して再出発が決まったが、グラス・ワン・テクノロジーが親会社でさえなければ何事もなかったはずである。

 偽装の代償はそれぞれだが、やはりいずれも小さくはない。

 

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